ルフェーヴルの1975年の来日コンサートの第2部は「歌に託して」で幕が上がりました。その力強いブラスの響きと分厚いストリングスが絡み合う演奏は、第2部の開幕にふさわしくライヴ後半への期待感を抱かせる演奏だとファンの間でも話題となったものです。「コンサートのために書き下ろされた曲だったのかな?」と思っていた中、ルフェーヴルのフランス盤を持っている人から「"Si Ça Vous Chante / 歌に託して" ってルフェーヴルのオリジナルで、スタジオ・レコーディング盤があるんですよ」と教えられた時には驚いたものです。1970年代は、フランス盤を扱っている店もほとんどなく、また1968年発売という古い盤であったこともあって、そういった情報は全く入ってこなかったのです。
 この作品が収録されているRaymond Lefevre No.7は、確かに他のアルバムに比べてリズムやブラスが強調されており、大ヒットしていた「シバの女王」のイメージと違っていた作品が多く収録されていました。だからでしょう、キングはこれらの曲をそのまま発売することなくコンピレーション盤や17cm盤などに分散して収録し、結果として「あなたのように」「永遠に誓う愛」「歌に託して」の3曲が日本未発売のまま残ってしまったのです。そして、その3曲が日本で聴けるようになったのは1998年と、録音してから30年も経ってからのことでした。
 さて、このTV番組のテーマ曲にも使われていそうなこの作品なのですが、実は本当に使われていたのです。"Pebble Mill at One"という番組で、Wikiによると1972年10月2日から1986年5月23日まで、および1991年10月14日から 1996年3月29日まで、BBC1で平日の午後1時から生放送されたテレビ番組のようですが、実際にルフェーヴルの演奏がいつまで使われたかはわかりません。ルフェーヴルの演奏が使われている映像がアップされているのは感謝しかありません。

 また、BBCのTV番組のテーマ曲になったことで、そういった曲を集めたアルバムが作られた際には、ノリー・パラマーのオーケストラによる演奏でメドレーの冒頭を飾りました。こうやって他の人が編曲した演奏を聴くと、ルフェーヴルの編曲の上手さがわかります。

●ノリー・パラマー・オーケストラ "Si Ça Vous Chante"

●レイモン・ルフェーヴル・グランド・オーケストラ "Si Ça Vous Chante / 歌に託して"