さまざまな音が出せるシンセサイザーが充実し、ポール・モーリアがステージやレコーディングで使い始めたのが1975年頃。そしてそのすぐ後に訪れるディスコ・ミュージックと、この時期、音楽の潮流は大きく変わっていきます。スイッチひとつでさまざまな音が出せる電子楽器は、多くの歌手の伴奏でも楽器編成を小さくしてしまい、録音技術の進化と相まって、ローコストで音楽を生産することが主流になってしまうという流れが主流になりつつありました。
　しかし同じ頃、その流れに反するかのように全く電子楽器を使わない大編成のオーケストラ・サウンドによる映画音楽という新たな道を切り拓いたのがジョン・ウィリアムズでした。1975年の映画「ジョーズ」で、迫り来るサメの恐怖を迫力あるオーケストラ演奏で表現することで表現しアカデミー作曲賞を受賞したジョン・ウィリアムズは「スター・ウォーズ」のサウンド・トランクでロンドン交響楽団を指揮して交響詩的な演奏を繰り広げ、多くの音楽ファンを驚かせた当時のことを懐かしく思い出します。
　ジョン・ウィリアムズが現代音楽に残した功績を振り返りながら、世界最高のオーケストラで彼の代表作を楽しめるなんて、なんと贅沢なことでしょうか。観客がちょっと興奮過多になってしまうのもわかる気がします。ぜひブルーレイ・ディスク付きのセットで、映像と共にお楽しみください。日本語解説や字幕が不要という方は安い輸入盤でいいかもしれませんね。(2022/03/21)