ディスク・コレクション:イージー・リスニング

 シンコーミュージック・エンタテインメント社から発売されている「Disc Collection」のシリーズに
イージーリスニング編登場。それを勝手に記念して、このホームページに関係ありそうな3冊をご紹介。
どのジャンルも500枚程度では、とても全体像を捉えてるとは言い難いのですし、できれば、LPのみにするとか、復刻版が最近入手できるものとか、もう少しフォーカスを絞ってほしかったりします。
それでも、こういったデータベースがまとまった形で発売されるのは音楽ファンとしてうれしいことです。

 
 まずこちらの本では、ポール・モーリアから始まり、西村由紀江まで500枚を超えるCDを紹介。ただし、相当昔に発売されて現在では入手困難な盤も多くあり、発売年を見て「あ、こんなの出てたのか!!」と悔しい思いをする人も多いかも。著者の馬場さんはタワーレコードの渋谷店でずっと映画音楽とイージー・リスニングを担当されていた方。当然、世界中のCD発売情報を入手でき聴ける立場にあるわけで、特殊なルートでしか入手できないような盤を除き、このジャンルの名盤を網羅していると言っていいでしょう。
 ルフェーヴルは紙ジャケ復刻盤20枚が紹介されていますが、現在それらも入手困難となり、ベスト盤2枚組、通販ものしか入手できなくなりつつある現在、ワールド・ワイドで復刻版が出ている他のアーティストをうらやましく思います。
(2015.11.22)

ディスク・コレクション:フレンチ・ポップス

 CDだけでなくLPしか出ていない盤も含め300人を超えるアーティストの600枚近いディスクが紹介されています。特に人気の高い10人のアーティストは1ページに及ぶプロフィール紹介と3ページ12枚のディスク紹介があり、また主要アーティストは1、2ページを使ってプロフィールや代表盤を紹介。イージー・リスニング編とは違って収録曲が記されていない分、アルバム制作の背景や音楽傾向などが詳しく述べられています。フレンチ・ポップスに興味を持つ人なら、ぜひとも手元に置きたいデータ・ベースでしょう。
(2015/11/22)

ディスク・コレクション:サウンドトラック

 こちらも、タワーレコードの馬場さんによる著作。映画発表当時に発売されたLPも含めて紹介されていて、特に70年は馬場さんが1964年生まれで中学生の頃からサントラを聴き始めたということもあって充実しているように思えます。シングル盤でしか発売されなかったような映画音楽作品も紹介してくれたら、ルフェーヴルが作曲した「サントロペ大混戦」も紹介されただろうに…。
(2015/11/22)

JET STREAM 旅への誘い詩集 ~遠い地平線が消えて~

 城達也さんが朗読した堀内茂男さんの旅情豊かな詩集がTOKYO FM開局40周年記念で出版されます。100編の詩が収録された「欧州篇」「米国篇・他篇」の2分冊による写真集は、懐かしい思い出がいっぱいつまった宝箱かもしれません。

ポール・モーリア / セルジュ・エライク著 南部全司・山崎俊明 訳

 コンサート会場でも発売されたポール・モーリアのバイオグラフィ(写真下)の日本語訳。訳者の南部全司氏は過去に「わが弟 シャルル・アズナヴールの想い出」という本も翻訳している。同じ出版社(審美社)から出たのに、アズナヴールの本はハード・カバーで2,500円(税別)、今回はソフト・カバーで3,200円(税別)というのはちょっと割り切れない。原本は豪華な装丁で写真もデータも豊富な作りだったが、こちらの方は写真の点数も少なくその点は残念。
 だが、その一方で内容は素晴らしく濃い。コンセルヴァトワール時代、郵便局員時代、そしてエディ・バークレーのもとでレコーディングをおこない、やがてフィリップスと契約し彼独自のサウンドを完成させていき日本で大成功をおさめるまでの道のりは、イージー・リスニング・ファンだけでなく、ヨーロッパのポピュラー音楽に興味を持つ人にとっても驚きの連続であろう。
 才能だけでなく強運をも持ち合わせた偉大なるポール・モーリア氏。我々が彼が創り上げた音楽を通してしか知り得なかったマエストロの真の姿がここにある。

撮るライカ[1] / 神立 尚紀

 なぜ、ライカの本?
 実は著者である神立(こうだち)さんは大のルフェーヴル・ファン。ファン・クラブの会員だったこともあるそうです。この本の中で神立さんはライカの魅力について多角的に語っているのですが、当然ながらカメラを語るには実際に撮られた写真を題材に語るのが一番、というわけでこの本にはルフェーヴルさんが被写体となった一枚が掲載されているのです。
 撮影されたのは2000年の渋谷オーチャードホールでのコンサート終了後で、バス窓越しのルフェーヴルさんの姿がモノクロ写真で1/2ページの大きさで掲載されています。
 神立さんは1985年にフライデーのカメラマンとしてデビューしその後フリーとなり特に報道の分野で活躍され、これまで人物ドキュメンタリーを主体とした著作物も出されているということです。

シャンソン歌手はスパゲティを食わない / 山崎 肇

 …というタイトルで、ルフェーヴルやモーリア、クレイダーマンのコンサートの司会でおなじみ、山崎肇さんのエッセイ集が発売されています。
 これまでいっしょに仕事をしてきたミュージシャンの素顔の紹介からフランスの田舎生活の話まで、イージー・リスニング・ファンだけでなくフランス文化に興味ある人も楽しめる一冊です。
 内容もさることながら、山崎肇さんのデビュー盤(!)、クレイダーマンやモーリアとのスナップ、ルフェーヴルさんの描いた油絵の写真や別荘でくつろいでいるところの写真、ジャン・ミシェルの自宅の写真等、普段目にすることのできないような貴重な写真も掲載されています。
 ところで、この禅問答のようなタイトルの謎は??是非、お買い求めの上、答えを見つけてください。立ち読みはいけません。

Mantovani ~ A lifetime in Music / Colin Mackenzie

 「マントヴァーニ100歳の誕生日に間に合うように」ということで、ファン・サイトも運営しているコリン・マッケンジー氏が関係者の協力を得て24章、300ページにまとめた、イージー・リスニング・ファンとして非常に興味深い本が出版されました。ただし英語です。
詳細はこちらの「マントヴァーニ・ファン・ウェブサイト・ジャパン」の"Latest News"に詳しく書かれていますので、ぜひご覧ください。(2005.09.07)
http://members3.jcom.home.ne.jp/torumonty/
 
 
■主な内容
01. 幼少時代
02. マントヴァーニの音楽観
03. ダンス・バンド・リーダー時代のマントヴァーニ
04. ノエル・カワード、ルピーノ・レインとの劇場活動
05. シャルメーヌとロナルド・ビンジ
06. 米国・英国ツアー
07. レコーディングとフィルム・ワーク

CDで聴くムードミュージックとイージーリスニングのスタアたち / 出谷 啓

 出谷啓(でたにけい)氏と言えば、クラシック音楽誌で独特の切り口によるCDやコンサート評を執筆している音楽評論家です。そして、実はクラシックだけでなく幅広いジャンルの音楽にも詳しく、かつてフランク・プゥルセルのクラシックアルバムの解説を書いたこともありますし、京阪神にお住まいの方は、20年近く前にFM大阪で放送されていた「でーやんの音楽横町」という1時間のクラシック音楽に関するトーク番組で、クラシックだけでなく、ミュージカルをはじめとしたポピュラー音楽に関してもいろいろコメントを述べていたことを覚えている方もいらっしゃるかもしれません。(ちなみにその番組のお相手役の吉川智明さんもイージー・リスニングに関しては実はむちゃくちゃ詳しい方でした。)
 さて、そんな出谷啓さんが満を持して執筆したこの本は、「CDで聴くムードミュージックとイージーリスニングのスタアたち」というタイトルからもわかるように、77人(団体)のムード・ミュージックのアーティストを2~3ページにわたり、経歴やヒット曲そして、これまで発売されたCDを取り上げてその選曲の傾向などについて書かれたもので、なかなかまとまったデータが出てこないこの種のジャンルの本として、ファンなら手にしておくべき内容でしょう。
 ただしCD番号は書かれていませんし、全てのCDを紹介しているわけではありませんので、詳しい方にとってみればちょっと消化不良の内容かもしれませんが。