New Discs

 岩崎宏美のチェコ・フィルとの共演盤

TEICHIKU
Imperial Records
TECI1161
P. 2007

PRAHA - Deluxe Edition / Hiromi Iwasaki

 だいぶ前の話になりますが、チェコ・フィルとも何度が仕事を重ねてきたビクターエンタテインメントのクラシック担当ディレクターと「レイモン・ルフェーヴルが『千の風になって』を演奏し同時に伴奏版も収録したとしたら誰に歌って欲しいか?」という話をしたことがありました。ディレクター曰く「あの曲に良く合う声質を持っていて大編成オーケストラをバックに歌える歌手として思い当たるのは岩崎宏美かな。」
 そんな話をしていた一方でこのような企画が進行していたのですね。
 60人編成3曲、30人編成6曲、5人編成3曲の計12曲は、1曲1曲、その曲の雰囲気にあったアレンジが施されていて、それが見事に岩崎宏美さんの歌声を引き立てています。ポピュラー曲をフル・オーケストラにアレンジした演奏というものは、とかく大げさなアレンジにしたり、装飾音を必要以上に付加したり、リズム感が失われてしまったりして、原曲のイメージとはかなり違うものとなってしまう例がありがちなのですが、ここで聴ける演奏はごく自然で岩崎宏美さんの歌声をひきたて、歌謡曲という音楽ジャンルが、歌詞もメロディも非常に練られた高品質なものであることを改めて教えてくれます。
 私が気に入ったのは「シンデレラ・ハネムーン」「すみれ色の涙」のような小編成演奏の曲。それに本田美奈子に捧げた「つばさ」も美しいですね。個人的には高校時代によく聴いた「想い出の樹の下で」「センチメンタル」なんかもやってほしかったですが。
 岩崎宏美さんの歌については、改めてコメントするまでもないでしょう。
 限定版のみにセットになっているDVDはおそらく普通のデジカメで撮っているのでしょう。でもそのプライベート・ビデオ的な映像だからこそ、プラハの街に魅せられホールやオーケストラに感激してレコーディングに臨むご本人の気持ちがよく伝わってきます。11月にはオーケストラ演奏のみの盤も出るそうです。

Disc 1

01. 聖母たちのララバイ
02. シアワセノカケラ
03. 思秋期
04. 夢破れて(ミュージカル「レ・ミゼラブル」より)
05. 手紙
06. ロマンス
07. 好きにならずにいられない
08. シンデレラハネムーン
09. 万華鏡
10. すみれ色の涙
11. ただ・愛のためにだけ
12. つばさ